銀の供給・生産プロセスの詳細分析
採掘から精錬までのプロセス
銀の生産は主に鉱山採掘によって行われ、約60%は他の金属の副産物として生産されています。採掘された鉱石は破砕・粉砕工程を経て、浮遊選鉱法により濃縮され、その後高温での製錬プロセスを通じて純度の高い銀が精製されます。
採掘から精錬までの主要な工程は以下の通りです:
鉱石の採掘:地下または露天掘りにより鉱石を採掘
破砕・粉砕:採掘した鉱石を細かく砕く
浮遊選鉱:化学薬品を用いて銀を含む鉱物を分離・濃縮
製錬:高温で鉱石を溶解し、不純物を除去
精製:電解精製などにより純度の高い銀を抽出
世界の主要生産国
2024年の生産量ランキング
順位 |
国名 |
生産量(トン) |
世界シェア |
|---|---|---|---|
1 |
メキシコ |
6,300 |
24% |
2 |
中国 |
3,300-3,400 |
13% |
3 |
ペルー |
3,100 |
12% |
4 |
ボリビア |
1,400 |
5% |
5 |
チリ |
1,300 |
5% |
メキシコは2024年も世界最大の銀生産国であり、その生産量は第2位の中国のほぼ2倍に達しています。メキシコの主要産出州はサカテカス、ドゥランゴ、チワワで、これらの州だけで同国の銀生産量の80%を占めています。
中国の生産量は2024年に前年の3,400トンから3,300トンにわずかに減少しました。 [1] [2]
ペルーは第3位の生産国として安定した生産量を維持しています。
生産量の推移と2024年の実績
2024年世界の鉱山生産量
2024年の世界の鉱山生産量は819.7百万オンス(約25,000トン)で、前年比0.9%増加しました。 [3] [4] [5]
主な増減要因:
増産要因:
オーストラリアの鉛・亜鉛鉱山からの増産
メキシコのPeñasquito鉱山の回復(935.5トンの生産) [6]
減産要因:
チリの減産(-8.8百万オンス)が一部成長を相殺 [9]
なお、2024年の生産量について、一部の早期予測では916.1百万オンス(4.1%増)という見通しもありましたが、実績値は819.7百万オンスとなりました。 [10] [11] [12]
副産物としての銀生産
銀は他の金属の採掘における副産物として生産される割合が高く、これが銀供給の特徴的な側面となっています。
生産源別の構成(2024年)
2024年は特に金鉱山からの銀生産が顕著に増加し、12%増の13.9百万オンスと3年ぶりの高水準を記録しました。一方、鉛・亜鉛鉱山は依然として最大の供給源ですが、生産量は前年比ほぼ横ばいでした。 [15] [16]
リサイクルの状況
2024年のリサイクル実績
2024年のリサイクル量は193.9百万オンス(約6,032トン)で、12年ぶり高水準を記録し、前年比6%増加しました。 [17] [18] [19]
リサイクル量の増加要因:
工業スクラップ
大幅増加(+4.8百万オンス) [20]
主因:エチレンオキサイド(EO)触媒の処理
銀製品リサイクル
総供給に占める割合
リサイクルは総供給の約19%を占める
米国のリサイクル実績
2024年に約1,200トンの銀が新規および旧スクラップから回収
リサイクル市場の成長見通し
スクラップ銀リサイクル市場は大きな成長が見込まれています:
2024年の市場規模:25億ドル(一部推計では50億ドル)
2033年までの予測規模:41億ドル~92億ドル
予測期間のCAGR:6.0%~7.2%
成長の主要因:
ハイテク用途での銀需要増加
銀価格の変動
環境持続可能性に対する消費者意識の高まり
電子機器・再生可能エネルギー分野からの需要拡大
厳格化する電子廃棄物管理規制
リサイクル技術の進歩による回収率向上とコスト削減
生産コスト
2024年の生産コスト
平均生産コスト(AISC):$14.58/oz
2023年の$16.76/ozから低下 [24]
現在価格$32/ozは生産コストの約2倍
この生産コストと市場価格の差は、銀鉱山の採算性が良好であることを示しています。
最新動向(2025年)
2025年のリサイクル見通し
2025年のリサイクル量は横ばいで推移する見込みです。
制約要因:
写真用スクラップの構造的減少(デジタル化の進展)
欧米における銀器在庫の枯渇
長期的な生産見通し(2030年まで)
世界の銀鉱山生産量は2030年までに876.6百万オンスまで減少する見込みです。 [25]
主な減産要因:
この長期的な生産減少見通しは、新規鉱山開発の不足、既存鉱山の枯渇、品位の低下などが背景にあります。需要が堅調に推移する中での供給減少は、中長期的な価格上昇圧力となる可能性があります。